オフィスの引っ越しは、あまり好きではありません
好きか嫌いかと訊かれれば、引っ越しは好きな方です。引っ越しには気分を一新させる不思議な力があります。気持ちも新たに出発しようという思いにさせてくれます。いいものですね。
ところが、私はどうしても好きになれない引っ越しというものもあります。それはオフィスの引っ越しです。あれは大変でした。十六年前、私は港区にある小さな広告制作会社に勤めていたのですが、徐々に仕事が増えるに従い、新たにスタッフも増員してみれば、今度はオフィスそのものが狭くなったのです。そこで引っ越しという事になりました。
新しいオフィスは近くの賃貸オフィス。今までよりも広い空間です。一応、デザイン会社と言われるだけあり、オフィスの機材は運ぶのに大変なものばかり。カラーコピー機数台、パソコン十数台、デスク沢山、その他諸々。これらを専門の業者に依頼する事なく、自分たちだけで運ぶのですから大変です。スタッフ五名ほどで丸半日かかりました。
引っ越しが終わったときには、もう腕も足もガクガクでした。学生時代に引っ越しのアルバイトをした事がありますが、これほどヒドくはなかったように思います。いや、あの頃は若かったからなのかもしれませんが。兎に角、オフィスの引っ越しはあまり好きではありませんね。
しかし、いざ引っ越しが終わってみると、そこには何とも形容しがたい清々しさがる。私は窓際の席を陣取り、自分だけの作業スペースを確保しました。椅子に座り、窓外を眺めていますと、これがなかなか気分がいい。早く仕事がしたいな、と思えるから不思議です。
「引っ越しも終わったことだし、さあ、飲みに行こう」チーフがそう言いますと、皆は急に盛り上がりました。実はチーフは社長からお金をもらっていたのです。そう、御祝儀に。私たちは近くにある居酒屋へ行き、その夜は馬鹿騒ぎしました。
そして、翌日。私の身体はボロボロでした。足も腕も、筋肉痛で起きれない。また、二日酔いで気分は最悪でした。